性悪毒舌アイドルと甘すぎる日常を。
「ネットニュース見て、血相変えて電話する姿なんて見ちゃったら、恋してるんだなって思うに決まってんでしょ?」


「……ちがうよ。心配だっただけ」


玉突き事故的にアイツの看病させられて、その結果なんだかんだアイツの体調が気になってただけ。


恋なんてしてない。


「ねぇ、今からサボってどこかで話そうよ。全部聞かせてもらうからね!」


実結のミーハー魂にロックオンされ、教室に強制連行させられる。


「もー、実結!勘弁してよ。何も話すことないよっ」


実結は東雲碧のファンだし、勝手にアイツの性悪な素顔を暴露するわけにはいかない。


それに、話す上で必ず、私がCBS社長の娘だってことを言わなきゃいけなくなるし。


「私のこと、信用してない?」


「そういうわけでは…」


実結が悲しそうに私を見つめる。


「私が碧くんのファンだから、近づくためにのんの事を利用しようとしてるって思ってる?」


「ううん、そうじゃない」


実結がそんな子じゃないのはよく分かってる。


友だち思いで、優しくて頼りになる人だ。


「…わかった、話す。絶対に誰にも言わないって約束してね」


「当たり前!」


トップアイドルとの恋愛なんて、一人で抱え込むには重たすぎるし、相談相手がいるのは心強い。


実結なら絶対に約束は破らない信頼がある。


……って、恋愛じゃないけど。


ただの隣人だけど。

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