性悪毒舌アイドルと甘すぎる日常を。
「きっと碧くんのことだから外でのデートは了承しないだろうけど、必ず代替案は出してくれると思うんだよね」


「そんなわけないでしょ。そもそも出会った日に“俺と関わるな”的なこと言われたし」


「いいから黙って試してみなって。絶対大丈夫だから」


何を根拠にそんなテキトーなことを…。


「アイツがデートを了承するなんて、真夏に雪が降るほどありえないね」


天変地異が起きようともありえない。


実結は東雲碧の傍若無人な素顔を知らないから呑気な妄想ができるんだと思う。


罵詈雑言の嵐を浴びせてくる悪魔のようなアイツが、デートだなんて。


ありえなさすぎて想像したら笑える。


「でもさぁ、のん」


実結が真剣な顔で見つめてくる。


「のん自身は全然否定しないよね。デート行くこと」


………。


「…え?」


……。


「ん?だって、いつもののんなら、“デートなんか行くわけないでしょっ”“あんなやつとデートなんて時間の無駄っ!”とか言うでしょ、絶対」


「…なにその絶妙に似てないモノマネ」


「いや、こんなもんだよ」


…モノマネの上手さはさておき…実結の言うことは正論すぎる。
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