性悪毒舌アイドルと甘すぎる日常を。
たしかに私は、アイツがデートをOKしてくれるはずがないとは言ったけど、行きたくないとは言わなかったし、正直思いもしなかった。


完全に誘う前提だった。


無意識って怖い…。


「のんはデート行きたいんだなー、でも自信がないんだなーって感じたよ?」


「……違うって」


「素直になりな?」


「…違うもん…」


そんなのまるで、私があいつのこと好きみたいじゃん…。


ありえないって。


「じゃあ聞くけど、もし碧くんに好きって言われたらどう思うの?」


「…それは……」


あの美しい顔面から放たれる“好き”という言葉を想像すると、現実離れしすぎていて震える。


でも。


……嫌じゃない。


「嬉しい…かも…?」


「ほら。じゃあ碧くんのこと好きなんじゃん」


「いや、でも、そりゃ、スーパーアイドルに好きって言われたら誰でも嬉しくない??あいつ、顔面だけは取り柄だからさ?」


「そうかな。私は碧くんのファンだけど、付き合いたいとは思わないよ。デートしたいとも思わない。推しは遠くから眺めるのが1番だもん」


「実結が特殊なんだよ」


「恐れ多くて会話もできないもん。推しってそういうもんだよ。でも、のんは違うでしょ?普通に会話するし、電話もするし、家の行き来もする仲で、好きなんだよ」


……認めたくない。


本当にあいつは嫌な奴だ。


性格が悪いに決まってる。
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