性悪毒舌アイドルと甘すぎる日常を。
数秒の間。


大きな目が点になっている東雲碧。


…やっぱり、おかしいよね。


オートロックすら解除できないなんて。


とんだバカ娘だと思われたよね、絶対。


「……お前…マジでガチガチのお嬢様なんだな」


「…そんなことないけど」


お嬢様って言われるのは嫌だ。


たまたま親がお金を持っているだけで、私自身が持っているわけじゃないんだし。


「まぁたしかに、お嬢様にしては品がねぇよな」


「うるさいなぁ!悪かったわね!下品で!」


「下品とは言ってない。品がないと下品は違うから。そんなことも知らねぇのか箱入り娘」


クールな顔して毒を吐く東雲碧だけど、その足はエレベーターに向かっている。


「へー、教えてくれるんだ。優しいじゃん」


「なんでお前が上から目線なんだよ。社長令嬢だからって調子のんな」


「…違うから。あんまりそういうこと言わないで」


24階で止まったままだったエレベーターは、押した瞬間扉が開いて、あっという間に下降していく。
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