性悪毒舌アイドルと甘すぎる日常を。
小さな箱に気まずい沈黙が流れる。


右上の階数表示を見るついでにチラッと東雲碧を見ようとしたら、バッチシ目があってしまった。


「なに。見ないでよ」


「お前こそ。俺がカッコイイからって見惚れんな」


「はっ!?性格悪い上にナルシストって最悪コンボじゃん」


「じゃなきゃアイドルなんかできるわけねぇだろ。アイドルなんかどいつもこいつもこんなもんだよ」


「夢が壊れた…」


皆がキャアキャア騒いでるあのスーパーアイドルたちは、皆こんなクソみたいな奴なの?


信じらんないんだけど。


信じたくない。


あの東雲碧がこんなクソ野郎だったことだけでも衝撃的なのに。


「…アイドルなんかに幻想抱く奴らがバカなんだよ。お前は早くに気づけてラッキーだったな」


……なによそれ。


「それは違うんじゃない?言っちゃいけないでしょ、そんなこと」


ファンを否定したも同然だよ。
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