性悪毒舌アイドルと甘すぎる日常を。
東雲碧は案外優しくて、オートロックの仕組みも宅配ボックスの仕組みも、エレベーターの仕組みも、全部丁寧に教えてくれた。


…私が社長の娘だから?


だからホントは嫌だけど教えてくれたんだよね。


「なんかごめんね。全部説明してくれてありがとう。助かった」


24階の部屋の前で謝罪と感謝を述べると、東雲碧はフッと口角を上げた。


いつものアイドルスマイルと違ってクールな笑みだけど、なんだか心がポッと温まる。


「別にいいけど、くれぐれも今後俺に迷惑かけるなよ」


…いや、やっぱり性悪は性悪だったか。


「努力はするけど、約束はできない」


「はぁーーー」


「ウソウソ。迷惑はかけないよ。大丈夫」


思う存分頼ろうとは思ってるけどね。


「じゃ、せいぜい野垂れ死なないように頑張るんだな」


「上から目線腹立つ」


「だってお前年下だもん」


「なんでわかるのよ。まだ名乗ってすらないのに」
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