性悪毒舌アイドルと甘すぎる日常を。
「ごめん、お待たせ。って、謝ってる意味もわかんないけど」


エレベーター前に戻ると、性根曲がり野郎はイヤホンで音楽を聞いてるっぽかった。


喋ることもないし、別にいっか。


なんで一緒に登校してるのか意味が分からないまま、ふたりでマンションを出る。


あれっ?いいのかな。


もし今この瞬間を写真に撮られたら、東雲碧熱愛発覚!とかってならない?


もしそうなったら世間から大バッシング受けるくない?


嫌なんだけど。


「ねぇ」


「なに」


「写真撮られたらやばくない?」


「うん。だからタクシー呼んでる」


突然立ち止まる東雲碧。


ドカッとその背中に突撃してしまい、鼻先がジーンと痛む。


「ファンデついちゃった、ごめん」


「チッ。鈍くせぇな。何やってんだよ」


「あなたが急に立ち止まるからでしょっ」


なんで私が悪いみたいな言い方されなきゃいけないの。
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