性悪毒舌アイドルと甘すぎる日常を。
「東雲碧!」


よかった、ナイスタイミング!


「なに。キモいんだけど」


サングラスの向こう側から鋭い眼光が飛ぶ。


そして、視線がギロリとタッパーに移動する。


「悪魔の食いモンなんかいらねぇかんな」


「だ、誰もアンタにあげるとは言ってないけど!」


なによ、悪魔の食べ物って!


謝ろうと思って来たのに、ほんとムカつくんだから!


「どけ。邪魔」


「そんな言い方しなくてもいいじゃん」


「疲れて帰ってきてお前の顔を見させられるこっちの身にもなれよ」


覇気のない声でため息混じりに話す東雲碧は、本当に疲れ切っている様子だ。


「…ごめん」


「……なんだよ。やけに素直じゃん。キモ」


ドアを開け、今にも中に入ってしまいそうな東雲碧。


早く謝んなきゃ。
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