性悪毒舌アイドルと甘すぎる日常を。
「のんのお嬢様パワーでチケット買えたりしないのー?」


「いやー、無理だね」


そういうことをするのは私のポリシーに反するし。


「碧くんに会いたいなぁぁ」


「そのうちライブとかあるんじゃない?」


「ないよ。碧くんがライブをするとは思えない」


…まぁ、それもそうか。


誹謗中傷うちわなんて見ちゃったら、もうステージには戻れないよね。


まだ高校生なのに、可哀想。


どれだけ傷ついたことだろう。


だからアイツはあんなにツンツンした性格になっちゃったのかもしれない。


クレムン時代の東雲碧について、“明るい”“コミュ力が高い”“人懐っこい”と色んな記事に書かれていた。


だけど、今のアイツしか知らない私からすると、想像もできない姿だ。


きっと、一ノ瀬愁斗の騒動を経て変わってしまったんだろう。


「…東雲碧…か……」


「やっぱり超好きじゃーん」


茶化すような実結の声は、私の耳には届かなかった。
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