性悪毒舌アイドルと甘すぎる日常を。

✡✡

お風呂から出てきた東雲碧は、入る前に比べてしんどそうだった。


無理して入るからそうなるんだよ…。


まったく…。


薄手のスウェットをゆるっと身に纏い、濡れて濃くなっている金髪からは水滴がいくつも滴り落ちている。


「ねぇ、大丈夫?」


「大丈夫」


と言いながらも寝室に直行し、バタリとうつ伏せに倒れ込んでしまった。


「全然大丈夫じゃないじゃん…」


とりあえずお水と、タオル…。


今日の数時間だけで、この人がどんな人なのかよくわかった気がする。


無理しがち、実は甘えん坊、寂しがり屋。


「東雲碧、お水飲んで。脱水になっちゃう」


……。


反応がない。


「おーい、東雲碧ー」


……。


「ねぇ、大丈夫?東雲碧?」


背中をゆすって意識を確認する。


「東雲碧!聞こえてる?碧くん!おーい!」


どうしよう、全然反応してくれない。


救急車呼ぶべき?それともただ寝てるだけ?


「…わかんないよ、バーカ!!起きろっ!!」
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