性悪毒舌アイドルと甘すぎる日常を。
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お風呂から出てきた東雲碧は、入る前に比べてしんどそうだった。
無理して入るからそうなるんだよ…。
まったく…。
薄手のスウェットをゆるっと身に纏い、濡れて濃くなっている金髪からは水滴がいくつも滴り落ちている。
「ねぇ、大丈夫?」
「大丈夫」
と言いながらも寝室に直行し、バタリとうつ伏せに倒れ込んでしまった。
「全然大丈夫じゃないじゃん…」
とりあえずお水と、タオル…。
今日の数時間だけで、この人がどんな人なのかよくわかった気がする。
無理しがち、実は甘えん坊、寂しがり屋。
「東雲碧、お水飲んで。脱水になっちゃう」
……。
反応がない。
「おーい、東雲碧ー」
……。
「ねぇ、大丈夫?東雲碧?」
背中をゆすって意識を確認する。
「東雲碧!聞こえてる?碧くん!おーい!」
どうしよう、全然反応してくれない。
救急車呼ぶべき?それともただ寝てるだけ?
「…わかんないよ、バーカ!!起きろっ!!」