性悪毒舌アイドルと甘すぎる日常を。
寝室では東雲碧が魘されながら眠っている。


「…可哀想…。こんなになってまで働くなんて……」


これで明日仕事だなんて…信じらんない…。


まだ濡れている髪を撫でる。


「…ほんとは苦しいんだよね」


キラキラした笑顔を振り撒いてアイドルやってるけど、本当は苦しんでいる。


なのに、それを見せることはなくて。


…見せることが許されてないのかもしれなくて。


「無理しないでね…」


これ以上、一人で苦しんでいたらパンクしちゃうよ。


「んん……しゅ…と……」


一ノ瀬愁斗のこと。


一人で抱え込まないで。


東雲碧は、アイドルである前に一人の人間なんだから。


「ごめ…な…しゅう…と」


…いつも?


いつもこうして、過去に苦しめられているの?


一ノ瀬愁斗の夢を見て魘されているの?


なにか、できることはないだろうか。


東雲碧が少しでも安らぎを感じられるためにできること…。


彼を支えたい。


過去に苦しむ彼を守りたい。


「碧くん…。碧くんは、一人じゃないからね…」
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