余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
疲れと聞いて思い浮かんでくるのは教室内での冷たい視線だった。


みんなが自分を嫌っている。


みんなが自分を蔑んでいる。


そんな空間にいたことが倒れる原因になっていたのかもしれない。


「少し入院して、元気を取り戻すといいよ」


入院という単語に萌は焦った。


一度入院してしまうともうそのまま退院することはあ不可能なんじゃないかと思えてしまう。


「あの、少し入院したらまた学校に戻れるんですよね?」


すがるように質問する萌に担当医は一瞬言葉につまった。


今は安定しているけれど、これからどうなるかわからない。


末期がん患者である萌に安易なことは言えなかった。


しかし、希望が消えてえしまうようなことも決して口には出せない。


「そうだね。そのために頑張ろうね」


医師は微笑んでそう伝えるのだった。
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