余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
頬を伝って流れる涙は大樹の肩口に吸い込まれて消えていく。


「なれるかな、お嫁さん」


「なれるよ。絶対」


自分の腕の中で震える萌を、大樹はいつまでもいつまでも抱きしめ続けていたのだった。
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