余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
☆☆☆

「……っ!」


真夜中の部屋の中。


大樹は頭まで布団をかぶってひとり震えていた。


萌には絶対に見せられない、弱々しい姿。


自分で自分の体を抱きしめて、好きな人の命が消えていく恐怖に耐えている。


「大丈夫。大丈夫。俺には特別な力があるから」


自分で自分にそういい聞かせていないと、発狂してしまいそうだった。


いつかは萌の口から直接聞くことになると思っていた余命宣告。


それは大樹にとって覚悟していたことだった。


あの日、希へあてた手紙を読んでしまった大樹は、すでにその事実を知っていたのだから。


あの手紙を読んだ日はさんざん思い悩んだ。


萌の命があと3ヶ月で消えるなんて信じられなかったし、もしかしたら萌は生き続けるんじゃないかなんて、変な希望をもったりもした。


そして、命の短い人間を好きで居続けることができるのだろうかと、不安にもなった。


自分に萌を支えることなんてきっとできない。


そこまで大した人間じゃないことはわかっている。


だけど、一緒に並んで歩くことは?


手をつないで、抱きしめることは?

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