余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
☆☆☆

萌が病院内でモヤモヤとした気分でいるとき、大樹は学校内で希に声をかけられていた。


当然、希も、萌がまた学校で倒れて入院中であることは知っている。


「あのさ」


気まずそうな顔で声をかけてくる希に大樹は一瞬眉間にシワを寄せてしまった。


希には萌のことを気にかけてやってほしいと伝えたが、なぜかそれを断られている。


大樹にはその理由が未だにわからないままだった。


「萌なんだけど、大丈夫そうなの?」


「心配なら、自分で病院に行ってみたらいいだろ?」


大樹は萌が入院してから毎日病院へ行っているが、萌のクラスメートが病室を訪れていることは1度もなかった。
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