余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
その白状さにも苛立ちを感じていたのだ。


希は大樹に突き放されてうつむいてしまった。


「別に、萌が倒れた原因はクラスメート全員からシカトされてることが原因じゃないから、気にする必要はない」


まるで被害者のような顔をしてうつむく希のことが腹立たしくて、ついそんなことを行ってしまった。


ハッとしたように希が顔を上げる。


その目は少しだけ潤んでいるようだった。


女子を泣かせる趣味はないけれど、クラスメート全員から無視されてきた萌の気持ちを考えると、ひとこと言わないと気がすまなかった。


「まぁ、そのストレスが倒れるキッカケくらいにはなったかもしれないけどな?」


大樹はそう言うと希に背を向けてしまったのだった。
< 114 / 274 >

この作品をシェア

pagetop