余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
☆☆☆

萌が退院した日、家で小さなお祝いをした。


そこには大樹も呼ばれ退院祝いに大きな花束を用意してくれていた。


「こんな花束買ってきてくれたの!?」


両手いっぱいの花束は持つと重たいくらいで萌は目を見開いた。


「あぁ。花屋で注文するとき、お姉さんにクスクス笑われて恥ずかしかったんだ」


大樹は照れ笑いを浮かべている。


「『彼女さんにですか? いいですねぇ』ってさ」


そのときの大樹の様子を想像して萌は声を上げて笑った。


きっと顔を真赤にしてとまどったに違いない。


「あははっ。その時の大樹の顔見たかったなぁ」


元気に笑う萌に大樹もつられて笑う。


萌が嬉しそうにしていると自然とその場が明るくなっていく。

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