余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
☆☆☆

翌日の登校日、萌は少し緊張しながら制服の袖に腕を通した。


「準備できた?」


部屋の向こうから声をかけてくる母親に「うん」と返事をして部屋を出る。


今日はパートが休みの母親に送っていってもらうことになっているのだ。


「どう?」


制服姿でクルリを回ってみると「うん、よく似合ってる」と、何度も頷いてくれた。


その目にはジワリと涙が浮かんでいる。


今回の入院期間が長かったため、もう二度と制服を着ることはできないんじゃないかと、誰もが覚悟をしていたのだ。


「よし、じゃあ行こうか」


母親は車のキーを握りしめて、萌の背中を押したのだった。
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