余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
え……?


いつも自分の挨拶は空中に消えていた。


それはきっと今日も変わらなくて、明日も同じなんだと思っていた。


「なに驚いた顔してるの? 早く教室に入ってよ」


希がぎこちなく抗議する。


「う、うん。そうだね」


萌は頷いて慌てて教室へ足を踏み入れたのだった。


教室に入った瞬間感じていたあの冷たい視線を今日は感じなかった。


「おはよー」


みんなが萌に気がついて当然のように挨拶をしてくる。
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