余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
そんな風に考えて立ち止まっていると、途端にクラスの後方からクラッカーの音がした。


びっくりして振り向くと、そこには女子生徒が4人集まってこちらへ向けてクラッカーを鳴らしたところだった。


何事かと見ていると「退院おめでとー!」という言葉と同時に、花束が差し出されたのだ。


「退院おめでとう、萌」


希の言葉に萌は目を見開く。


「これって、私のために?」


ピンク色を基調とした可愛らしい花束を手渡されて萌は息が詰まる。


こんなにまで自分のことを考えてくれていたなんて、少しも思わなかった。


「もちろん。退院祝いと……今までの謝罪を込めて」


そう伝える希の目には涙が浮かんできている。


「私、萌に取り返しのつかないことをしちゃったよね」


声が震えて揺れる。


「希、そんんことないよ」


「親友だって、思ってたのに……」


肩を震わせて泣く希の体を萌は両手で抱きしめた。
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