余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
身長も体重もそんなに変わりないのに、希のことがこんなに小さいと感じたのは初めてのことだった。


「ごめん。本当にごめん」


「大丈夫だよ希。私はまたこうしてみんなと仲良くすることができるんだから」


もらった花束からはとても甘くていい香りがしてきている。


それはみんなが一生懸命選んでくれたからだと萌は感じていた。


「萌、ごめんね」


他のクラスメートたちが駆け寄ってくる。


「萌、退院おめでとう」


ごめんねとおめでとうが混在して萌は誰になんと答えたのかわからなくなっていた。


けれども気がつけば机の上には用意されていたジュースやお菓子が並び、みんなが笑顔になっていた。
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