余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
☆☆☆

萌の退院祝いは1時間ほどで終わった。


本当はもっと友達と話たいことがあったのだけれど、先生との約束で時間が決められていたのだ。


「すっごく楽しかったね!」


パーティーに無理やり参加させられた大樹だったが、その後部活に戻ること無く萌を家まで送り届けてくれていた。


「あぁ。ほんとみんないいやつばかりで安心した」


大樹の表情は明るく穏やかだ。


希が気持ちを改めたのは萌の病気を知ったせいだと思うが、それでも萌が学校に行きやすくなるのであれば、あれでよかったのだと感じられた。


「最近、不思議に感じることがあるんだぁ」


萌は白い小石を蹴って歩きながらつぶやく。

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