余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
「う~ん、とくに予定はないよ? 大樹は?」


「俺も今の所予定はないんだ。だから、今から予定を入れようと思うんだけど」


大樹の言葉に萌は首をかしげた。


「明日、デートしないか?」


その言葉に萌は大きく口を上げて立ち止まってしまった。


大樹と付き合い始めたものの、まだデートらしいデートは1度もしたことがなかったのだ。


病院だったり、学校の行き帰りに一緒にいたことはあったけれど、それくらいだった。


「デート……」


つぶやき、その響きに萌の頬が赤く染まる。


人を好きになったことだって大樹が初めてだったし、キスだって大樹が初めてだった。


そしてデートも、もちろん大樹がはじめてだ。

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