余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
☆☆☆

《大樹:数学の宿題出た。最悪》
《萌:こっちも出たよ。難しいよね》

《大樹:今日はちょっと寝坊した。厚に怒られた》
《萌;厚くんは悪くない。大樹くんが寝坊したのが悪い》

《萌:窓から空を見てみて! 虹が出てる!》


萌からメッセージが届くのは初めてことかもしれない。


友人の厚との会話を切り上げて大樹は教室の窓へと向かった。


梅雨入りの発表がされて2日目の今朝、ようやくまとまった雨が振り始めてつい5分ほど前にやんだところだった。


「お、虹!」


窓を開けて空を見上げると、萌が教えてくれた通り綺麗な虹がかかっていた。


「へぇ、お前が虹に興味があるなんて知らなかったな」


ヒョロリと背の高い厚が隣に立って物珍しそうに空を見上げた。


「たまには虹くらい見るっつーの」


「美術科の福永さんからメッセージが来たから?」


「そう、萌からメッセージが来たから」
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