余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
砂場に取り残されて小さなバケツを手に取り、萌がつぶやく。


「また明日来るからだろ? 毎日持ってきてたら大変だし」


「でも、盗まれるかもしれないのに」


そういいながら萌は子供みたいに小さなスコップを使ってバケツに土を詰め始めた。


「この公園に来るのは決まって同じメンバーで、使っても定位置に戻しておく。それが子供たちの暗黙のルールなのかも」


大樹は萌と一緒に砂の山を作り始めた。


子供時代には毎日のように触っていた砂場の土は、思っていた以上にサラサラとしている。


「土ってこんなんだっけ?」


「こんなんだったよ」
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