余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
萌は熱心に山を大きくして固めていっている。


「子供の世界でもさ、暗黙のルールってあるんだね」


「たぶんな。あんまり覚えてないけど」


子供時代なんてつい最近だった気がするけれど、もう遠い昔になってしまった気もする。


萌の作った大きな山は、今度は少しずつ少しずつ姿を変えていた。


丸いだけだった山が今度はお城のようなフォルムになってきている。


「ここはお城?」


「そうだよ。お姫様が暮らしてるの」


「王子様と一緒に?」


「ううん。王子様が来るのを待ってる」
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