余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
萌の言葉に大樹はチラリとその顔を確認した。


城作りに熱中しているようで、少しだけ唇が突き出している。


「お姫様は、自分の足で歩くことができるのに?」


その言葉に萌は顔を上げて大樹を見つめた。


萌の目は夕日のオレンジ色が輝いていて、今にも吸い込まれてしまいそうだ。


「お姫様は外には出られないの。そういういいつけを守っているから」


「真面目なんだ」


「真面目なんだよ」


多くのお姫様はそうなのかもしれない。
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