余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
大樹は砂の人形を通して萌へ向けていった。


「もちろん。そのためにお姫様はずっとお城にいたんだから」


萌の言葉に大樹はハッとした。


お姫様がずっとお城で待っていたのにはちゃんと理由があるのかもしれない。


王子様が見つけやすいように、その場に留まっていたのかもしれない。


「じゃあ、遠慮なく」


大樹はそう言うと萌の手を握りしめた。
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