余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
医師からの診断に思わず両手を上げて喜ぶ萌。


「でも油断は禁物で――」


「無茶なことはしません、絶対に!」


医師の言葉を先回りして萌は言った。


今までだって何度もそう言われてきたことだから、もう言われなくても理解していた。


「そうだね。病気の影は相変わらずそこにあって、進行が止まっているような状態だからね。無理したら悪化する可能性はあるんだ」


医師の言葉に萌は真剣に頷いた。


今の調子の良さを保つためには、日々の努力が必要だ。


やりたいことを我慢したり、みんなと同じようなことができなくても仕方がない。


それでも学校へ行くことができるし、好きな人とデートだってできる。


今の萌にとってはそれだけで十分すぎた。


「それじゃ、またなにかあったらすぐに連絡するようにしてください」


医師から元気のお墨付きをもらった萌はそのまま帰宅していた。
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