余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
だけど、大樹とはずっと連絡を取り合っていた。


昨日は部活が終わってからまっすぐに帰ったはずだ。


「そんなわけないじゃん」


萌の声が思わず荒くなる。


どうして希はこんな嘘をつくんだろう。


私が幸せなことが嫌なんだろうか?


「本当なんだってば! だから私心配で……」


「そんな心配はいらないよ。公園にいたのはきっと大樹じゃなくて人違いだから」


萌は希を突っぱねるように言い返す。


希はもしかしたらまだ大樹のことが好きで、だからこんな意地悪なことを言っているのかもしれない。
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