余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
大樹と距離を置くようになって数日が経過していた。


いつも大樹が送ってくれる日には、それよりも早く教室を出るようにした。


廊下でもすれ違わないように気をつけたし、家の周辺に大樹が待っていないかの確認も怠らなかった。


そうして距離を開けてみると少しずつ気持ちが落ち着いてくる。


これから先どうすればいいのか考える余裕がでてきていた。


「やっぱり、これ以上は付き合えないよね」


休憩時間中、萌は希へ向けてポツリと呟いた。


その瞬間希はつらそうに表情を歪める。
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