余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
一時期は大樹に執着していた希だったが、今は萌の味方だった。


「萌がそう決断するなら、それでいいと思うよ」


希は声を絞り出すようにそう伝えた。


ずっとずっと好きだった大樹が浮気するような人だったこともショックだし、親友の萌を傷つける結果になってしまったこともショックで、少し青ざめている。


「あのさ、萌……」


希がなにかいいかけたそのときだった。


教室のドアが開く音がして視線を向けるとそこには大樹が立っていた。


大樹は萌を見つけるとすぐに近づいてくる。


萌はとっさに大樹から視線を外して逃げ出そうとするが、それより先に腕を掴まれていた。


ドクンッと心臓が跳ねる。
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