余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
全身の血の気が引いていくのを感じて、大樹の目を見ることができない。


「萌、やっと会えた」


大樹は安心したように微笑む。


しかし萌は無理に笑顔をつくることもできなかった。


どうしてひきつってしまうし、今にも泣き出してしまいそうなのだ。


「大樹、今更萌に会いにきたの?」


険しい希の声に大樹はまばたきをする。


「彼氏が彼女に会いに来るのは普通だろ?」


なんでも無いことのように言う大樹に、希は舌打ちしたい気分になった。
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