余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。

大樹は自分の浮気がバレていることに気がついていないのだ。


「とぼけないでよ。私、見たんだから!」


そう言ったのは萌だった。


声は震えて顔色も悪いけれど、しっかりと大樹を見ている。


「え?」


そんな萌を見たことのない大樹は一瞬とまどい、手を離してしまった。


「別の女の子とキスしてた!」


公園で見た光景がまた鮮明に思い出されて、涙が溢れ出す。


他のクラスメートたちの前だけれど、もうかあまわなかった。


萌に責められた瞬間大樹はハッとしたように目を見開いた。


自分の見に覚えがあるからだろう。


「こっちには写真もあるよ」


そう言ったのは萌に写真を送ってくれた友人だった。


友人は目を吊り上げてスマホ画面を大樹へ見せる。


言い逃れができなくなった大樹は言葉を失い、その場に立ち尽くしている。


「萌、これには理由があるんだ」
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