余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
大樹の言葉に萌は左右に首をふる。


そんな言い逃れのようなことをされるとは思っていなくて、更に涙はこぼれだしてくる。


「理由? キスするのに必要な理由ってなに?」


希が問い詰める。


「俺は萌とふたりで話したいんだ」


大樹がまた手を伸ばしてきたので萌はとっさに身を話していた。


別の女の子の手を握りしめて、体を抱きしめていたその手に触れられたくない。


「言い訳は聞きたくない!」


萌はそう言い放ち、教室を後にしたのだった。
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