余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
少し前まで自分が経験していたことを、今は大樹が経験している。


そう思うと胸が傷んだけれど、大樹の場合は自業自得だと言えた。


そのため周囲の生徒たちの態度も冷たい。


萌の場合は大樹が毎日気にしてくれていたけれど、大樹にはそんな相手もいないんだとおもう。


「気にする必要ないよ」


希が萌の肩に手を置いて言った。


大樹はついさっき追い返されたところだった。


「うん……」


もう、自分と大樹は終わったのだ。


自分から別れを告げて、連絡だってしていない。


これで、いいんだ……。

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