余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
☆☆☆

最近はずっと調子のよかった萌が突然苦しみ出したことで両親の動揺は大きかった。


もしかしたらこのまま、余命なんて関係なく元気に生き続けてくれるんじゃないかと心のどこかで思っていたのだ。


しかし、今回担当医から告げられた言葉はそれとは真逆なものだった。


「このまましばらく入院になります。もしかしたら、もう退院はできないかもしれません」


あれだけ数値が安定していたのにどうして?


そんな疑問ばかりが浮かんでくる。


担当医にもどうしてこんなに突然萌の様態が悪化したのかつかめずにいた。


とにかく、今は全力で萌の治療に当たるしかかなった。


そして夕方になっていた。


今日1日仕事を休んだ両親は萌の着替えを準備するために一度家に戻っていた。

< 217 / 274 >

この作品をシェア

pagetop