余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
希はまるで敵をみつけた兵士のような表情になって大樹を睨みつける。


今にも牙をむいて襲いかかりそうだ。


「希にも聞いてほしい話がある。頼む!」


大樹はふたりへむけて頭を下げた。


その姿に萌と希は顔を見合わせた。


思えば大樹の話をちゃんと聞こうとしたことはなかった。


他の女の子とキスすることにどんな理由があるのだと、憤っていたからだ。


「そうだね。少しくらい話をきいてもいいかも」


萌は冷静にそう答えた。


さっきまで苦しかったのに、大樹にキスをされてからすっかりその苦しさが抜け落ちている。
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