余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
それは男でも女でも、若くも年老いても聞こえる不思議な声だ。


「お前の願いを聞き届けよう。ただし、条件がある」


不思議な声は大樹の胸の中にスッと入ってきて、怖い感覚はしなかった。


「そのお守りを持っている人間は、他人から1日だけ寿命をいただくことができる。そしてその寿命を愛する人間にわたすことができる」


そのためには、寿命をいただく人間と口づけをして、そして愛する人に口づけをするというものだった。


それがどんな自体を招くのかなんて考える暇はなかった。


とにかく、これで萌の命を引き伸ばすことができる。


もしかしたら、ずっとずっと一緒に生きていくことができるかもしれないのだと、希望が湧いた。


「ありがとうございます!」
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