余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
言ったのは大樹だった。


少し目がつり上がっていて、希を睨みつけている。


「美術部に忘れ物をして取りに戻ったとき、萌が倒れているのを見たの。誰か呼ばなきゃって思った。でも……私っ!」


そのときなにもできずに逃げ出した。


そんな大きな病気だとは思っていなかったし、大樹のこともあって萌にはいい印象がなくなっていた。


「お前、そんなことをしたのか!」


「大樹、私は気にしないから」


怒鳴る大樹を萌がたしなめる。


あの場所に希がいたことは驚いたけれど、希が早く対処してくれていたところで萌の病気は変わらない。
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