余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
あのときにはすでに末期になっていたんだから。


だから萌は希を攻める気にはなれなかった。


自分は希の一番大切な人を奪ってしまったのだから。


「本当にごめんなさい!」


「大丈夫だよ希。あのときに希がどう動いたて、私の寿命は変わらなかった」


萌の言葉に希が泣きそうになり、唇をかみしめた。


自分のしたことは許されることじゃないのに、萌は攻めようともしない。


いっそ被弾された方が安心できたかもしれない。


「今まで言えなくて苦しかったでしょう?」


萌が希の手を握りしめる。


希は左右に強く首を振った。


罪悪感は常に胸の中にあった。

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