余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
だけど余命宣告を受けていた萌に比べれば、こんなの苦しみのうちにはいらない。


「とにかく、これからも萌と一緒にいたい。だから、許してほしい」


気を取り直したように言ったのは大樹だ。


しかし萌はふくざつそうな表情を浮かべた。


「大樹の力は信じるよ。だけど、その力を使うためには他の子を傷つけることになるんだよね?」


大樹とキスした子の中には、大樹のことが本気で好きだった子が沢山いるはずだ。


そんな子を騙してキスをして、命を1日もらう。


そんなこと、許されることじゃなかった。
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