余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
「萌、私もいるよ」


目だけで周囲を確認すると、そこには希の姿もあった。


私の大好きな人達が今すぐそばにいる。


それが嬉しくて少しだけ微笑んだ。


その弱々しい笑顔に大樹の胸はひどく傷んだけれど、どうにか顔に出さないように気をつけた。


「萌、頼む。もう1日だけ生きてくれ」


萌は大樹の言葉に返事ができなかった。


余命宣告された3ヶ月を過ぎて、それからまだ数日が過ぎて、自分の命はついに消えようとしているということだけは理解してた。
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