余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
それがあと何日分なのかまでは、わからないけれど。


「これで、最後だから。誰も傷ついてないから」


希が隣から言う。


どういう意味だろう?


そう考えた次の瞬間だった。


柔らかな感触が唇に押し当てられていた。


そのぬくもりからどんどん生きるエネルギーが体内に入り込んでくる。


萌は大きく目を見開いてっその生気を吸い取った。


「大樹、これって」


唇がはなれた時萌の意識はハッキリとしてた。


痛みもほとんど感じることなく、苦しさも抜け落ちている。
< 257 / 274 >

この作品をシェア

pagetop