余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
☆☆☆

談話室にはいっぱいの来客で埋まっていた。


イスの数が足りなくて、廊下で立っている人もいる。


きっと、人づてに今日結婚式をあげる話を聞いて、かけつけてくれた人がいるんだろう。


大樹はその中に自分の兄の姿を見つけて驚いた。


兄にはなにも伝えていなかったのだけれど、両親からなにをしようとしているのか聞いたのだろう。


兄は大樹と視線がぶつかると一瞬険しい顔したが、すぐに柔和な表情に戻った。


そして一番に拍手をしてくれる。


その音に気がついた他の人達が大樹と萌がやってきたことに気がついて拍手をして、小さな会場は大きな歓声で包まれた。


ステージでは牧師代わりの担当医が待っている。

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