余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
担当医はこの日だけの萌の回復に驚きながらも、兄と同じ医師であるからあの神社のことを知っているようで、なにか納得したような表情でふたりを祝福してくれた。


「おめでとう、萌!」


希の声が泣いている。


他の人たちも泣き笑いの表情を浮かべて拍手を続ける。


「誓いのキスを」


担当医にそう言われたとき、萌は一瞬戸惑った表情を浮かべた。


大樹は小さくうなづき、萌に身長を合わせてかがみこんだ。


このキスではもう命を移すことはできない。


たとえ、萌の命がここで尽きたとしても。


「萌、世界一、愛してるよ」


そう囁いて、大樹は萌にキスをしたのだった。
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