余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
突然胸が痛くなった。


息を吸い込もうとしてもうまく行かない。


呼吸ができなくて思わずその場に膝をついた。


「萌!?」


異変に気がついた大樹が駆け戻ってくる。


それでも返事ができずに、ヒューッヒューッと乾いた呼吸を繰り返すばかりだ。


そのうち酸素が足りずに頭がぼーっとしてきて、横倒しに倒れ込んでいた。


大樹が走って保健室へ向かう姿が見える。


苦しくて、怖くて、悲しくて。


萌はそのまま真っ暗な世界へと突き落とされて行ったのだった……。
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