余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
☆☆☆

もう何度この光景をみただろうか。


目を開けたときには病院のベッドの上だった。


酸素マスクをつけられた顔が妙に重たい。


「萌、大丈夫か?」


聞き慣れたその声に驚いて視線を向けると、ベッドの横には大樹がいた。


どうして大樹がここにいるの?


そう質問したいけれど、声はマスクの中でくぐもって届かない。


全身にだるさを感じていて、手を持ち上げることも億劫だ。


そんな自分に焦りを感じて左右に首を振った。


「ちょっと待ってな。マスクを外すから」


大樹がマスクを外しても、呼吸は整ったままだった。


1度大きく深呼吸をして大樹を見つめる。


「どうして……ここに?」


自分のものとは思えないしわがれた声が出た。


これも病気のせいだろうか。


「無理やりここまでついてきたんだ。先生はどうしても抜けられない授業があって学校に戻った。萌の両親が来るまで、俺がついてることになったんだ」
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