余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
余命宣告なんて受けていなければ、喜んで大樹の気持ちを受け取ることができたのに。


今の自分にそれをする勇気はなかった。


死ぬとわかっている自分と付き合うことがどれほど残酷なことか。


そしてその悲しみを大好きな人に背負わせるということがどれだけ罪深いことか、すでに理解してしまっている。


「好き。私も大好きだよぉ」


声に出して気持ちを伝えると、涙は止まらなくなってしまった。


子供みたいにしゃくりあげて泣いて、何度もメッセージを読み直した。


そしてようやく落ち着いた頃、萌は大樹に返事を送った。


《萌:ごめんなさい》


萌が送ったのは、たったそれだけの文章だった。
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