余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
つつけざまに送られてきているメッセージに思わず吹き出してしまいそうになる。


萌はそっと文面を指先でなぞった。


画面上の文字だけれど、その中には沢山の愛情が詰まっているように感じられて、胸の奥が暖かくなった。


大樹は本当に私と付き合いたいと思っているんだろうか。


私が余命宣告されていると知っても、態度を変えないだろうか?


ふと、そんなことを考えてしまう。


萌も大樹のことが大好きで、自分の病気のことがなければ付き合いたいと思っている。


自分たちは奇跡的にも相思相愛になれているのだ。


そう思うとまた胸の奥が熱くなり、同時に切なさがこみ上げてきた。


こんなに好きなのに、どうして気持ちを隠さないといけないんだろう?


どうして我慢しなきゃいけないんだろう?


大樹は私からの返事を待ってくれているのに……!


下唇を噛み締めて目を閉じる。


自分の気持に素直になりたい。


今すぐにでも大樹に付き合いたいというメッセージを送りたい。


そんな気持ちが抑えきれなくなってくる。
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